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ベトナムのスタートアップ界隈で気になったことを紹介していきます

ベトナムの離職率の高さは逆にチャンス

ベトナム離職率が高いと言われ、多くの人事担当者は悩みの種として語られている。

確かに20代の転職率は日本と比べて1.8倍なんてデータもあり、データ自体には肌感覚としてもあまり違和感はない。転職を繰り返すことで給与を上げている人も多々見受けられる。

 

しかし、その原因を国民性に帰着する人が多いのだが、これは間違いである。
これは入社システムと受け皿の問題だ。新卒から育て上げる環境作りにコミットすれば、他社の環境が稚拙すぎて転職する気がなくなる。

 

つまり、離職率の高さと言う一見ネガティブな環境は、考え方によっては人材獲得競争上有利に働くのだ。

 

離職率の高さを理由にしている間は、自分達の会社の組織運営能力の低さをアピールしているようなものなので、恥ずかしいと思ったほうが良いのではないか。

 

「時間がないから、、、」と言い訳じみた言葉を残す人も多いが、昔から企業は人なりと言う通り、人に時間がかけないで何にかけるのかという話しだ。

 

さらに言えば、ベトナムにある大半の日系企業は支社であり、製造拠点や開発拠点だ。
何か新しいプロダクトを作るというよりも、いかに組織を効率的に回すのかがその拠点のミッションとなる。

 

また、そのような環境を作るノウハウがないというのも理由の一つとしてあげられることが多いが、それも単なる怠惰に過ぎないのではないか。

 

人が企業に求める要素は濃淡はあれど、どの国もたいして変わらない。
小難しいメソッドをこねくり回す必要性もないし、組織コンサルを雇う必要性もない。トライアンドエラーしながら自社に一番フィットするものだけやり抜けば良いだけだ。試行回数とやり抜く力だけあれば誰でもできる。

 

多くの経営者はその苦労をアピールするために、組織コンサル系の会社は自社の利益のために、いわばポジショントーク的にその難易度を説くが、差し引いて聞いたほうが良い。

 

転職支援会社は流動性の高さを好意的に捉えがちだが、中長期的に考えれば健全なキャリア形成の先にしか健全なマーケットは存在しない。
その市場の中でビジネスをする以上、高い視座を持たない限りは求職者からも企業からも選ばれる存在にはなれずに淘汰されていくだろう。

 

何よりも、減点方式で互いに縛り合いながら組織を作るよりも、他社の環境が稚拙すぎて転職する気がなくなるくらいの組織を作るってことのほうがロマンがあって良いよねということだ。

 

 

 

 

本質の大安売りの時代

私たちは本質の大安売りの時代にいる。まさに本質のデフレだ。


あらゆる記事には『○○の本質』というタイトルが並び、私たちは期待を胸にクリックする。しかしそこには期待した内容は含まれておらず、すぐにそのページを閉じることになる。今日も無駄な記事に時間を使ってしまったと後悔するのだ。

 

就活の本質とは?
仕事の本質とは?
イノベーションの本質は?
五輪エンブレム騒動の本質とは?

 

誰しも一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
実際に、Googleで『本質』と検索すれば、あらゆる事象に対する眩しいまでの本質論が目に飛び込んでくる。

 

メディアだけではない。一般個人ですら、この本質論の供給者だ。
実際に、Twitterで『本質』と検索してみてほしい。どこかの誰かが、20秒に1回は「本質」「本質的」とつぶやいている。それだけ私たちは本質論が大好きなのだ。

 

ただ、それ自体は決して悪いことではない。
人々がより真実に近づくために思考を巡らせる行為だ。むしろ歓迎すべきではないだろうか。

 

ではいったい何が問題なのか。

 

それは、考えることを放棄し他人の本質論に委ねるのが危険だからだ。


世の中に溢れる本質論は、聞き心地は良いが間違った認識も多い。本質論に出会ったときには疑ってかかるべきだ。なぜなら、これから先も社会が複雑化し続ければ社会は本質を求め、供給も比例して増える。あなたはあらゆる場面でどこからか借りてきた他人の本質論を当てはめることで、間違った選択をしかねないのだ。これは危険だ。いつの間にか浸食する、認識のない危険さだ。

 

まずは本質の定義から順に追っていく中で説明していきたい。

 

本質的とは

本質的とはなんなのか。
辞書によると、『物事の根本的な性質にかかわるさま』だそうだ。

どうやら、主に表面的の対義語のように使われ、一般的に複雑とされている事象に対して、これだと1つの性質を解として示す行為のように思える。巷にあふれる○○論を想像してもらえばイメージがつきやすいだろう。

 

本質を求める行為とは

それでは人々は本質にどのようにたどり着いているのか。
整理し、単純化し、要点を取り出す。基本的にはこのステップを踏んでいる。
つまり、世界というものが人間にとって複雑で情報が膨大すぎてよくわからないから、簡単に考えるための作業ということだ。

なぜ本質論はウケるのか

なぜ本質論はウケるのか。

単純だ。考えるのが面倒くさいからだ。

いちいち本質がどーのこーのと考えるほど暇じゃないのだ。人間の認識には限界がある。膨大な情報だと人間は理解できないが、少ない情報に減らせば理解できるようになる。うまく情報を減らせたとき、人間は物事の本質を掴んだという気になれる。脳みその引き出しから取り出しやすくなる。○○まとめのような情報が好まれるのも納得だ。

 

では何が問題なのか

ここまで本質の定義、プロセス、なぜ本質を欲するのかについて述べてきた。
では冒頭に述べた通り、なぜ本質論に出会ったときには疑ってかかるべきなのか。

 

まず、物事の本質というのはある前提条件や制約条件の中でしか成立しないものだ。
例えば林檎の場合。林檎の本質を『糖度の高さ』と置いたとしよう。その場合、糖度の高さという本質は、我々人間が林檎を食べるものという前提条件のもとに成立する。これは単純化した例だが、このように前提条件や制約条件を無視した実用性のない本質論は多い。

 

また、対象物の本質自体が複雑である場合も存在する。あらゆる事象と複雑に絡み合いながら存在するのだ。その場合に注意すべきが、「本質的でない部分を削ぎ落とした」という行為自体が、本質を構成する複雑な構造体の大部分を切り捨ててしまっているケースだ。

 

さらに、一度真理だとされたものはその真理の現実の再現度の高さを無視され、間違った認識を与えてしまう。本質に向って圧縮された性質は、再度使用され得る精度の高さが伴う必要がある。まさにzipファイルの解凍のようなイメージだ。それが出来ないのであれば、徐々にその認識は当初のものとズレが生じ始めてしまう。

 

では我々は本質論とどう向き合うべきなのか

まずは何が本質かと人々に提示し、人々がそれに納得するとき、本質についての共通理解が得られたわけではないということを肝に銘じなければならない。なぜなら、単に「利害」が一致しただけであり、共通理解ではなく、お互いに都合のよい共通誤解が得られただけなのだからだ。

また、対象物の本質自体が複雑であるとき、その対象物を扱う正しい態度が存在する。その本質自体の本質的複雑性と理解不可能性を認めた上で、特定の文脈に依存した特定の共通利害を確立することに満足するに留める、これが謙虚な態度だ。

さらに、情報の圧縮として物事の本質を考えると、圧縮しすぎて、精度の低くなった現実でしかないことを受け入れざるを得ない。

これらと向き合い、もがき苦しみながらも、本質の大安売りの時代という荒波を上手に乗りこなしたいところだ。

 

ベトナムが第二の中国にならないために必要な『書く』という文化

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全世界中でエンジニアが不足している。

ほぼ周知の事実と言って良いであろうこの事象に対して、ベトナムは国家として大きな戦略を立てている。 国家戦略として2020年までに100万人(年間7-8万人増)にまで増やし、GDPの8~10%を担うまでに成長させようとしているのだ。

実際に、大学の数は増え、 エンジニアを育成するスクールも増えつつある。 すでに世界中の開発案件が、ここベトナムに集まってくる。 IT業界に身をおかずとも、1度はオフショアという言葉を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。 ベトナムは世界有数のオフショア、つまりシステム開発の発注先なのだ。

しかし、その評判は賛否両論と言わざるを得ない。 オフショア進出の増加と同じほど、撤退も増えているからだ。 撤退の理由には様々ある。 日本側の案件依頼の仕方、ベトナム側の開発の質、双方間のコミュニケーションのズレ。課題を挙げ出したら枚挙にいとまがない。

ベトナム人エンジニアの特性とは

そんな中、今回はベトナム人エンジニアの特性にスポットを当てたい。 一般的にはベトナム人は職人気質で器用と言われることも多い。 実際に、穏やかな性格や指示に対して忠実な姿勢などは日本人との相性も良い。個人的には仕事を抜きにしても、大好きだ。

ただ一方で、もったいないと思うことも多々ある。 だからこそ、それさえ改善できれば、ベトナムのIT産業はより拡大し、オフショア先という選択肢のみならず、 自ら新しいモノを生み出していける国家になれるはずだ。ベトナムに縁のある人間としては心から願っている。

新しいモノを生み出していけなければ、今後ベトナム国内の人件費が高騰した際には、他の東南アジアの国に流れ、 極端なことを言えばベトナムに仕事がなくなってしまうのだ。既に中国にアウトソースをしていた 各企業が人件費の高騰から撤退している事実をみれば納得ができるだろう。

『抽象思考』『客観的視点』『長期視点』の弱さ

ベトナム人の特性の中でも特にボトルネックとなり得る課題は何なのかについて考えた。 それが、『抽象思考』『客観的視点』『長期視点』の弱さだ。

ビジネスパーソンとしてより高い成果を出していくために、上記のスキルは不可欠だろう。 もちろんエンジニアにも当てはまる。この設計は長期的に運用するにあたり適切なのかという長期視点、納品先やチームのメンバーの視点に立った客観的視点、システムの全体像を捉えることで最適なアプローチを見つけ出す抽象思考。 これらのスキルが全体的に苦手な傾向にある。

この視点に立ち、原因を仮説をもとに考察していきたい。

9歳の壁理論

まず、上記にあげた能力は、幼少期の経験に左右されると言われている。

幼児教育分野には9歳の壁という理論があり、人間の論理的思考能力は9-10歳の時期に大きく成長するそうだ。 低学年の頃の具体的に目で見て理解できる学習から、抽象的な思考や論理的な思考を必要とする学習へと進む時期だ。 例えば算数ならば、2年生で覚えた九九を応用して計算する「割り算」や「分数の計算」、自然界では馴染みのない「少数点以下の計算」が始まる年齢である。

そして言語においても変化が生まれる。 不正確な表現があっても、理解可能である日常会話を中心とした遊び場言語から、教室において使用される「話し言葉」と言われるも正しい語彙を用い、文法的にも正確に表現しない限り相手に通じない教室言語の習得が必要となるのだ。

一般的には体の感覚を十分に使って、遊ぶことで脳はさまざまな経験を蓄積し、その経験が先を見通す力や、実際には目に見えない抽象的な思考能力を発達させると言われている。

では、日本人とベトナム人の間にこの経験の大きな差があるのだろうか。 仮説ベースのため調べた訳ではないが、そこまで結果に大きな影響を与えるほどの差はないのではないかいう印象だ。 ならば何が問題なのか。

『書く』という文化の欠如

1つの仮説として思い浮かんだのが、『書く』という文化の欠如だ。

私たち人間は、書くという行為を通じて自分の考えを論理的に整理し、相手に伝わる客観性を養っている。作文のようなストーリー性を持つ 文章であれば、長期的視点も必要だ。 私たち日本人は学校教育を通じたあらゆる場面で作文や日記、レポート、つまり書くという行為を繰り返してきた。 実はそれらの行為は、言語能力の育成に重要な役割を担っていたのだ。

つまり、ベトナムの学校教育における『書く』という文化の欠如が、抽象思考、客観的視点、長期視点の欠如に大きな影響を与えているのではないか。

ベトナムの学校教育ついては全く知識はないためそれが事実かは不明だが、少なくとも仕事の現場における『書く』という行為の質は低い。 まず媒体資料のようなデザイン性と論理性が求められるようなものは難しいし、日報もその日に行った作業を列挙するだけだ。そもそも何のために あるのかわからない、存在していることが重要で中身はどうでも良いといった感じだ。

現代のシステム開発において、重要なことは、どれだけチームでコラボレーションしながら成果を出せるか。 その際に、コードの書き方やレポートの仕方など、『書く』という行為は他者と円滑に仕事を進めるためには必須スキルだ。

つまり、『書く』という行為を通じてチーム開発を円滑化し、高い成果を目指す現代のシステム開発において、幼少期の『書く』という文化の欠如が ベトナム人エンジニアにとって大きなボトルネックになっているのだ。

それができないのならば、日本人を雇い続けるしかない

それでは一体どうすれば良いのか。 答えは簡単、『徹底させること』だ。

私が知るオフショアを運営し試行錯誤の末に上手く回っている企業の答えも同じであった。ツールの活用やレポート、納品に対する考え方まで、 とにかく徹底して教え込むしかない。何度言っても変わらないかもしれないし、同じミスをするだろう。それでも言い続けるしかない。

なぜなら、いくら人材会社に大金を払っても理想の人材はあなたの会社に来ないし、ベトナムの幼児教育の改革を待っていたらあなたの仕事人生は 終わってしまうだろう。

それができないのならば、日本人を雇い続けるしかない。 ある意味それも短期的には合理的ではあるが、これまで述べてきた課題を解決し得る組織こそ、最大の競争優位性になり得るのではないだろうか。

ベトナムで日本語ビジネススクールを開講した理由

 

6月よりベトナムで日本語ビジネススクールを開講しました。


完全無料、8週間でビジネスで必要な考え方やスキルを学ぶ、厳選された20名のみが参加できるスクールです。私の知る限りではベトナム初で、大変好評を得ています。

今回はなぜベトナムで日本語ビジネススクールを開講したのかについて説明すると同時に、ベトナムの人材業界がただの転売屋の域を脱せない理由について紹介していきます。

 

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今何をやっているのか


今年2月より祝い金型転職サイト「Viecoi」を運営しています。
日本では祝い金型の求人サイトは以前からあります。そう、ジョブセンスです。
しかし、ベトナムにはまだ広告掲載型の求人サイトしか存在しません。既にお察しの方も多いと思いますが、タイムマシン型、ベトナム市場においては新たなビジネスモデルとして勝負する。これが今私がベトナムで挑戦していることです。

本格的に運営を開始して約5ヵ月ほどで、サービスも売上げも立ち上がりました。
人材ビジネスは売上げが立ちやすい性質上、小規模で細々と生き延びることは可能です。アジアで起業!といった具合に、歪んだ自己陶酔に浸りながら生きる。それもまた人生でしょう。

しかし我々の場合は本気で既存のプレイヤーをひっくり返そうとしておりますので、何よりスピードが命です。
祝い金型は今はまだ珍しいですが、それ自体はすぐにでも真似できます。最大の差別化は組織だと胸を張っていえるように、現在先行投資で既に15名以上の社員を抱え、一気に勝負をかけにいっています。

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人材会社は、ただの転売屋でよいのか?


日本語ビジネススクールを開講した背景には、サービスリリース当初からの疑問があったからです。

 

「人材会社は、ただの転売屋でよいのか?」

 

ベトナムの20代の転職率は日本の2倍以上。
人口の60%以上が30代以下で、転職市場の大きさを物語っています。そのような環境下では、人材業者はビジネスがしやすいことになります。それもあってか、ベトナムには多数の日系人材紹介会社が存在しています。

ここベトナムでは、1-2年で職を変える人がゴロゴロ。これは脚色表現でも何でもなく、3年働いたら長い印象があるほどです。より良い条件に惹かれて引き抜かれるならまだしも、キャリア軸の定まらぬままに無闇に転職を繰り返す層も多数存在します。

人材会社としては、どんな理由であれ、人を動かせば報酬が手に入りますので、
そのような問題に取り組む倫理的な課題感はあれど、論理的な理由は見当たりません。
むしろ、自分達の市場を縮小させるといっても過言ではないのです。手間ひまかけて人材育成をした後に紹介をするよりも、リスティングを回して集客した方がよっぱど楽なのです。なおかつ、人材紹介業はナマモノですから、育成したからと言って必ずしも転職支援に繋がるとは限りません。

 

私たちのアプローチ


ユーザーに選ばれるサービスとは、いったいどんなサービスなのでしょうか。
そのたった一つの理由は、保有している情報にあります。

考えてみてください。「転職したいから○○会社に相談しよう」とは、そうそうなりません。特化型のサービスならばあり得るかもしれませんが、日本でさえ転職したいからリクナビNEXTに登録しよう!とはなっていないですよね。「転職」で検索すれば、その限られた広告スペースを取り合っている様子がうかがえます。

つまり、良質な求人を揃えることこそが選ばれる理由であり、良質な求人を集めるためには良質な求職者を集める必要があるということです。鶏が先か、卵が先かのような話しに聞こえますが、ビジネスにおいて順番の重要性はもはや周知の事実でしょう。だからこそ、畑を耕し、種を植えるところからスタートさせるほど手間をかけてでも、優秀な人材を育成する価値が論理的にあると言えるのです。時間軸の取り方で、見えてくる論理は異なるのです。

もしこの方法を取らないのであれば、「良質な求人を買ってでも揃える」という方法しかありません。しかし、これでは予算の大きな会社の前では戦うことができませんし、長期的に顧客と良い関係性を築くのは難しいのではないでしょうか。

このような手間のかかるプロセスは、どの会社も基本的にやりません。短期的には利益は出ず、時間がかかります。面倒くさいです。やるとしてもトップダウンでの判断でないと動き出すことは難しいでしょう。

それでも私たちがやる理由は、長期的に健全な市場を作ることが、必ず自社の利益に繋がると考えているからです。だからこそ、畑を耕し、種を植えるところからスタートしたいと考えました。今はまだ小規模ですが、このようなオフライン活動を継続していく先にのみ、ユーザーに選ばれるサービスの姿があるのではないかと思います。そんな隙間にこそ、スタートアップのチャンスは眠っているのだと思うのです。

 

現在の状況


まずは日本語学習者からスタートをさせたのが6月。

参加枠20名のところに多数の応募をいただき、選考の上で参加者を選ぶという有り難い結果となりました。ベトナムは家計における教育投資額が日本の2倍以上ある国であり、非常に教育熱心です。それは社会人も同じで、社会人でも学校に通う人がとても多いのです。

集まっている学生は国立大トップの日本語学科出身者や大手IT会社勤務者など、ベトナムの4万人いると言われている日本語学習者の中でもトップ3%には入るであろう層が参加しています。

優秀な人材の友人は優秀というのは本当で、現在の参加者のほとんどが合格者の紹介経由で合格しています。ベトナムの紹介の力は本当に凄まじく、リファラル機能をViecoiに実装したほどです。既にこの中から転職サポートをさせて頂いた参加者もおりますが、これからは日本への就職や留学といった道も用意し、出口を増やしていきたいと考えています。

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今後の展開


そして、同じスキームで次に展開するのがエンジニアです。

全世界中でエンジニアが不足しています。ほぼ周知の事実と言って良いであろうこの事象に対して、ベトナムは国家として大きな戦略を立てています。国家戦略として2020年までに100万人(年間7-8万人増)にまで増やし、GDPの8~10%を担うまでに成長させようとしているのです。実際に、大学の数は増え、 エンジニアを育成するスクールも増えつつあります。

すでに世界中の開発案件が、ここベトナムに集まっています。 IT業界に身をおかずとも、1度はオフショアという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。 ベトナムは世界有数のオフショア、つまりシステム開発の発注先なのです。
しかし、その評判は賛否両論と言わざるを得ない。 オフショア進出の増加と同じほど、撤退も増えているからです。撤退の理由には様々あります。 日本側の案件依頼の仕方、ベトナム側の開発の質、双方間のコミュニケーションのズレ。課題を挙げ出したら枚挙にいとまがありません。

我々事業者としていま取り組むべきは、エンジニア教育の0-1ではなく、1-10を担う存在としてエンジニア向けスクールを開講することです。現代のシステム開発において、重要なことは、どれだけチームでコラボレーションしながら成果を出せるかです。
エンジニアとして、どのように質の高いプロダクトを、生産的に作っていくのかこそ、我々民間事業者に求められていることなのではないかと思います。


ベトナムに興味がある、何か一緒に取り組めることがあるという方はぜひご連絡いただければ幸いです。既に日本の大手IT企業での就業経験があり、現在日越留学支援事業を展開するベトナム人経営者の方とも事業提携が決まっています。

anzai@viecoi.vn


Cám ơn nhiều(ありがとう)

 

ベトナムの組織マネジメントは「美術型」ではなく、「数学型」が良い

ベトナムでの組織マネジメントは難しい。

私たちの組織では本格始動して約6ヶ月、ビジネスチームと開発チーム合わせて13名のフルタイム社員が働いており、まだまだ規模は小さいが、”会社”といった雰囲気がでてきたところだ。日本にいた時には、創業からこの規模に至るまでに1.5-2年程かかった記憶があるが、それと比べると3-4倍のペースで拡大していることになる。まさに東南アジアのスピード感といったところだ。

 

ベトナム組織の拡大とマネジメントの問題について

組織が拡大するにつれて、組織をどう運営していくかというテーマに直面することになる。日本のスタートアップの場合、この規模の会社に飛び込んでくる人間であれば、ある程度文化や価値観を共有し、一枚岩になって突き進むことができる。ビジョン先導型で、多少組織内に問題があろうとも、食い下がってついてきてくれる。

 

しかし、ベトナムではどうだろうか。


労働観やキャリアに対する考え方の違いから、なかなか日本のスタートアップシーンのようなマインドを持つ社員を集めることは難しい。ビジョン先導型というよりも、個人のスキルアップと報酬に優先度がある。このような状況下で、他社のような十分な教育環境はなく、実践でのスキルアップを要求せざるを得ない。高い報酬も与えられない私たちのような組織は、どのように組織を構築し、拡大していけば良いのだろうか。

今回はその方法論について、実践を通じて現在進行形でおぼろげながら学習している解について紹介していきたい。

 

どうやったらリクルートのような組織をベトナムで作れるだろうか

私がベトナムで組織を作る初めに考えたことは、「どうやったらリクルートのような組織をベトナムで作れるだろうか」ということだ。つまり、リクルートの社訓の通り「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という価値観を持つ組織だ。

それは、世界のアウトソース先として注目が集まるベトナムの今の印象とは異なる姿だ。指示通りにこなすだけではなく、各メンバーが自発的に行動し、予想だにしない価値や結果を生み出していく組織を作ろうと思った。なぜなら、ベトナムに存在する日系企業のほとんどは、日本人中心 + 指示通りに仕事をこなしてくれるベトナム人を集めた組織であり、それではアウトソース先としては良いが、ベトナム市場で拡大を目指すサービスを運営する事業者にとっては最適ではないからだ。日本人の器以上にビジネスは拡大しないのだ。言い換えれば、社長と子供達で会社をしているような状態だ。

その状態を否定するつもりはなく、そのスタイルが最適な事業もある。しかし、私の場合は、その類いのビジネスをしたくてベトナムにきているわけではないのだ。この点をきちんと整理し、自分達の組織がどちらのスタイルを追求すべきかを日々意識し、具現化していくのは簡単なことではない。実際にそのような組織にはまだ出会ったことがない。

 

マネジメントは事業モデルから選ぶ

このような想いを持ちながら、日々試行錯誤を続けてきた中で気づいたことがある。

それが、事業モデルによって描く組織の姿も異なるべきだということだ。私たちのビジネスの場合、どのように行動すればゴールに近づけるかがある程度わかっている。それは国の違いはあるにせよ、タイムマシン型のビジネスだからである。自分自身もその領域での経験があるため、大枠ではわかっているつもりだ。
そのような場合、必要なのは各個人に予想だにしないクリエイティビティを発揮することを期待する「創造型」ではなく、仕組みができているビジネスを早期に立ち上げる「確実型」が適していることに気づいた。つまり、今目指すべきチームの姿がみえてきたということだ。当初は日本で創造型で成功体験があっただけに、そのまま持ち込めば通用すると思ったが、そうはいかないことに1-2ヶ月後に気づいた。

 

確実型の組織を作るためには

それでは、確実型の組織はどのように作るのだろうか。ここで指す確実型とは、単にマニュアル通りに動けば良い組織とは異なる。ある程度の仕組みの中で、日々1%の改善を積み重ねられる組織のことだ。そのような組織を目指す際によく問題視されるのは、質の問題だ。日本人が求める要求レベルに何度やっても達しないといった状況だ。オフショアやラボの徹底理由の多くはこれだろう。

私の経験からすると、確実型の組織を作るリーダーは、「数学教師」でなくてはならない。決して、「美術教師」になってはいけない。
数学の教師のように、難解な問題を解くための基礎となる”公式"を教えるのだ。そして、練習問題を重ねることで小さな成功体験を与える。その積み重ねにより、自然と応用が効くようになり、難解な問題ですらあらゆる公式を用いながら自ら解いてしまうようになる。
この考え方はビジネスにおいても同じで、あらゆる職域における公式を教え、若いベトナム人達に初めての成功体験を植え付けていくのだ。それにより、求める質のアプトプットに至るスピードと再現性が高まり、ついには予想だにしない結果までもたらしてくれる。
一方、美術教師の場合、白いキャンバスを渡し、想うように自由に描けという。これでは、まだ成功体験の少ない若いベトナム人は結果を出しづらい。成長ができないと言い残し、他の会社に高給で転職していくことだろう。企業側は「あいつは使えなかった」といって問題の本質に目を向けないのだ。

 

結果的に組織に文化が植付いた

組織には文化が必要だ。

これまで上記で述べた数学型のマネジメントによって、想定以上の結果を獲得してくることができたが、その過程で組織に文化は生まれたのだろうか。
結論から言うと、数学型のアプローチをすることで、一見対極にみえるかもしれないが、組織の価値観や文化を植え付けることができたのだ。
私の場合はリクルート型の組織を目指すことが間違いだと気づいてからは、「あらゆる判断には論理性、それを実証するデータ、そして感情も決して忘れてはいけない」という価値観を浸透させようと方針転換をした。結果はと言うと、公式を教えていく過程で自然と植え付けることができていったのだ。以前は逐一「それはなぜ?」「他の選択肢は考えた?」などといった会話のやり取りをしていたが、今では提案をしてくる前に全てに考えを巡らせている。どのような指摘が返ってくるのかわかっているのだ。会議においても私が話すことがあまりなくなり、全てメンバーで進行してくれる。初めは9割喋っていたが、今ではたまに突っ込むくらいで、基本的には聞いている時間がほとんどだ。"社長と子供達"という組織から、徐々に脱却することができたのだ。

 

今後、組織規模が30名を超えれば、また組織は次のフェーズに移行することになる。その時には各部署ごとに価値観を伝えることができる、いわば分身が必要不可欠で、その人間を通じて宗教のように伝搬していく。これはまた大きなチャレンジであり、避けて通れない道でもある。早くその道を通れるよう、今日も地道に頑張る次第だ。

 

 

【資料】ベトナムベンチャーが構築すべきカスタマーサポート体制

スタートアップのサービス初期段階において、カスタマーサポートは重要です。そして、それは東南アジアで展開する際も同じです。

しかし、社内のカスタマーサポートの質を高めるのは簡単なことではありません。なぜなら、スタートアップには時間もノウハウもなく、異なる文化背景を持つベトナムにて、日本と同じ感覚でカスタマーサポートを求めるのは難しいからです。

私たちもまだ改善し始めたばかりですが、社内向けに使っている教育資料を共有します。ぜひ何かお役に立てばと思います。

ベトナムでFacebookページ3,000いいね獲得までに取り組んだ施策

ベトナムFacebookページ3,000いいね獲得までに取り組んだ施策をまとめました。 まだまだ3,000で、試行錯誤しながらなので偉そうなことは言えませんが、ベトナムに限らず東南アジア市場でビジネスを展開する際に参考になればと思います。

 

ベトナムFacebook広告市場について

まずはベトナムFacebook広告市場について簡単にご紹介します。
人口9,000万人のベトナムでは、約1,200万人のFacebookユーザーがいて、人口の約13%、ネットユーザーの約50%を占めています。また、ベトナムの広告市場は主要4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告費で1700億円強と日本の1/16程度の規模。つまり、テレビの割合が全体の9割強と高いのが特長で、特に大企業の広告戦略はテレビに依存していると言えます。

日本ではネット広告比率が15%を超える中、ベトナムではまだ7-8%程度。
しかし、下記のデータを見れば、今後のベトナムネット広告市場の拡大を疑う余地はないでしょう。

・インターネット浸透率は約36%、インターネットユーザーは3,000万人、世界17位

・15歳〜24歳の若い年齢層では95%がインターネットにアクセスしており、インターネットユーザーの73%が35歳以下

・2,000年移行のインターネット人口増加率は全世界でぶっちぎりの第1位

また、Facebookの利用時間が長く、またベトナム人のネット広告のクリック率(CTR)が日本と比べても著しく高いことから、Facebookページを作成し、集客をはかりやすい国と言えます。

私たちがFacebookページを利用した目的

私たちはベトナム市場向けの転職サイトを運営しており、Facebookマーケティングでのターゲットは転職者となります。ターゲットである20-30代へのアプローチ手段として有効、少なくともやらない理由はないと言うことで取り組むことにしました。開設の主な目的として下記を念頭にスタートさせました。

「転職は人それぞれタイミングが異なるため、常にリーチできる状態を作りたい」

運用にあたり指標にした数値

運用を開始するにあたり、まず指標にすべき数値を決めました。Facebookにはインサイトという分析機能があり、あらゆる数値を収集することができます。しかし、重要な数値を絞らずに運用をすると、チームが正しい努力が出来なくなる恐れがあったため、初めに仮説として重要となる数値指標を設定しました。私たちの場合は下記の数値です。

「オーガニックリーチ数」「エンゲージメント率」「流入数」

一方で、「いいね」や「総リーチ数は」参考程度にしました。それは広告の量に依存せず、当初の目的である「リーチできる状態を作る」ことを基準に判断しています。

 

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取り組んだこと

1.運用チーム作り

まずは運用チーム作りです。私たちの場合は下記のような構成にしました。

・メイン投稿者(アルバイト)
ベトナム人管理者(マネージャー)
・分析担当(筆者、日本人)

日本であれば1人で十分ですが、何せベトナム語がわかりませんし、コンテンツを作る時間もありません。ベトナム人管理者を置いている理由は、メイン投稿者(アルバイト)が英語を話せないからが大きく、ここは本来1人で担当出来ると思います。分析に関しては私が担当しており、週1回定量的/定性的フィードバックを行います。これが運用担当者のモチベーションになっているようです。

2.発信コンテンツ

転職サイトを運営する私たちは、Facebookでは下記の3つの種類のコンテンツを発信しています。
・キャリア系記事
・拡散系動画
・求人情報

これに関しては日本に転職サイトやベトナムの競合サイトもほぼ同じです。
サービスローンチ初期は本来コンバージョンを狙いたい求人情報が乏しいため、キャリア系記事でリーチを広げることにしました。

3.運用方針

運用方針は下記の通りです。

・メイン担当者が1日3-5件投稿
・記事は外部ライターが執筆
・事前に承認は要らない(見てもわからないから)
・ある程度のクオリティチェックはベトナム人管理者がやる
・週1回分析担当がレポートを作成し、翌週の指示だし

大枠のルールは私が決め、中身に関してはある程度裁量を持たせていました。それにより、投稿担当者のオーナーシップが生まれ、かなりコミットしてくれています。

気づいたこと

1.どんなコンテンツが受けるのかは手探り

ベトナムと日本では文化も価値観も異なるため、どのようなコンテンツが受けるのかは日本人の私には掴めません。また、投稿の見出しにしてもどのような言葉を使えば引きがあるのかもわかりません。こればかりは試行錯誤を重ねるしかありませんでした。

しかし、数字は正しい。全ての投稿コンテンツの数値結果を洗い出し、比較し、評価をしていくことで、何が受けるのかの輪郭が見えてきました。また、社内のコミュニケーションにおいても、数字という事実をもとに会話をするととても説得力もあり円滑です。

 

2.運用担当者の熱量に大きく左右される

Facebook運用には色々なコツやノウハウが存在します。そして、専門の代理店に依頼すればある程度吸収することも出来るでしょう。しかし、運用してみて気づいたのは、「運用担当者がどれだけ熱量をもてるか」に尽きるということです。

Facebook運用はかなり地道な作業も多く、特に開設初期段階ではあまり結果も出づらいでしょう。そのような環境下において、どれだけ運用担当者が継続して改善活動が出来るかが重要なのです。そのための環境作りこそが、管理者の主なミッションと言えます。

やれなかったこと/今後やりたいこと

1.当たるコンテンツの要素を抽出

これまでの運用では、コンテンツの中身にまで突っ込むことが出来ませんでした。
それは私たちのコンテンツが記事型のコンテンツをメインにしていたため、ベトナム語を理解出来ない私には敷居の高いものでした。ここに関してはいくら私がベトナム語を勉強しても拭いきれない箇所なので、ベトナム人マーケティング担当者を採用して任せることにしました。その中で再現性のある要素を抽出し、日々経過を追っていくことにしました。

 

2.直接的にコンバージョンに結びつく導線設計

これまではリーチ拡大を目的に運用してきたため、サイト流入数や会員獲得や求人応募数は追ってきませんでした。
しかし、徐々に追うべき数値を変え、より売上げに貢献する運用体制に変えていきたいと思います。そのためにはどのようなコンテンツが良いのかなども、試行錯誤しながら見出していきたいと考えています。

 

終わりに

ベトナムFacebookページ3,000いいね獲得までに取り組んだ施策をご紹介しました。 ベトナムに少しでも興味を持った方、ベトナム事業をしたい方がいらっしゃれば、お力になれることもあるかと思いますので、ぜひご連絡くださいませ。

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