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ベトナムのスタートアップ界隈で気になったことを紹介していきます

人材業界主要4社の東南アジアM&A動向

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人材サービス各社が東南アジアで人材支援事業を相次いで拡大しています。

これまで東南アジアは製造拠点としての色が強かった背景がありますが、徐々に消費市場としても有望視されサービス産業の進出も進んでおり、人材サービスの需要もさらに拡大すると予想されています。なぜ買収という手段を取るかですが、外部環境変化のスピードに合わせ、事業展開を速める必要があるからでしょう。

今回は、日本の人材業界主要4社(テンプ、パソナ、エンジャパン、リクルート)の直近5年の東南アジアでのM&A動向を各社別にご紹介していきます。

 

テンプホールディングス

アジア地域を中心に海外9ヵ国/地域39拠点にて、人材紹介や人材派遣、人事コンサルティングサービスなど幅広い海外事業を提供。 東南アジアの開拓に関しては現地の人材会社を買収する方針で、自社との融合効果が大きい企業を選択。現地の事情に詳しい人材と営業網を一気に増やす狙いがある。買収を通じ、営業などを担当するアジアの従業員を2017年までに現状の2.5倍に当たる1500人に増加させる。

ベトナム

ベトナムの大手人材サービス会社First Alliancesを買収。約10万人の登録者と日系や欧米系の企業を中心に約500社の顧客を持ち、国内最大級規模を誇る、ベトナム最大級のローカル人材会社。人材紹介および人材派遣、ペイロールなどのサービスはもちろん、人事コンサルティングによる戦略的な人事施策の実現まで、高品質かつ包括的なサービスを提供していく。

シンガポール

シンガポールの人材サービス会社、キャピタを買収。創業者らが保有する株式を総額6174万ドル(約74億円)で9月下旬に取得し100%子会社化。現地の子会社であるインテリジェンスアジアと連携し、東南アジアで人材サービス事業のシェアを高める。 キャピタは2007年創業で欧米の企業や現地企業に人材サービスを提供。資本金は約1億9千万円で、14年12月期の売上高は約40億円だった。

 

パソナグループ

パソナグループは現在、中国、シンガポールインドネシアベトナム、インド等で人材サービスを提供しており、その地域は11地域35拠点。買収よりも合弁や出資での進出が多いよう。

インドネシア

インドネシアのデュータグリヤ サラナの株式の49%を取得。ホワイトカラーの人材派遣で同国有数の規模を誇り、金融、ITなどの専門分野に強く、現地の大手企業を顧客としている。人材派遣のほか、 現地のマネジメントや従業員を育成するための教育・研修については、外資参入規制により早期のサービス提供が困難だったことから、DGS社の子会社化が最適な選択肢であると判断したことによるもの。

 

エンジャパン

2011年9月にシンガポールへ進出して以降、「en world」ブランドで人材紹介を開始。各国内での成長だけではなく、海外子会社間の連携を強化することで、中長期的な海外事業の成長を目指す。

ベトナム

ベトナムワークス(ナビゴス・グループ)を約22億円を投じて、同グループの発行済み株式総数の約90%を取得。ベトナムでは求人需要の拡大が見込まれており、買収によって同国市場の開拓を本格化するもようで、アジア展開の強化が前向きに評価されている。

タイ

タイの人材紹介会社キャップストーン・グループ・リクルートメント・アンド・コンサルティングタイランド)の株式約74%を約2億1500万円で取得。キャップストーンは2002年設立。管理職の人材紹介に強みを持ち、2012年12月期売上高は約4800万バーツ(約1億5400万円)、従業員27人。タイは、ASEAN 加盟国においてGDPが2番目の水準(出所:JETRO)。管理職の給与水準は周辺諸国と比べて高く、人材紹介マーケットも成長中。

インド

インドの求人紹介会社 New Era India Consultancy(ニューデリー市)の株式60%を筆頭株主でCEOのArvind Sehgal氏から約5億8,600万円で取得取得。高いGDP成長率と世界2位の人口を保有し、継続的に人材サービスの拡大が見込まれるインド市場に進出。

 

リクルートホールディングス

以前は独資で各国に現地法人を設立、拠点を構えるケースが多かったが、近年は点在する大手人材会社買収で事業規模を拡大する動きが目立っています。各国を「点」で、アジアを「面」でとらえる戦略で、グローバルNo.1の人材総合サービス企業を目指す。

豪州

豪州の人材派遣会社、チャンドラー・マクロード(シドニー)とピープルバンク(ノースシドニー)の2社を買収。東南アジアではありませんが参考までに。

香港

香港子会社RGF社を通じて、アジア圏最大級のエグゼクティブサーチ会社ボーラ・アソシエイツ・グループの株式を追加取得。

インド

インド最大級のエグゼクティブサーチ会社のひとつであるNuGrid Consulting Private Limited (以下、「NC社」)と、同社株式の 100%を取得。買収額は明らかにしていないが数十億円規模とみられる。インドでは経営幹部層の人材需要が高まっており、同国で日系以外の企業への人材紹介事業を強化。

 

 

まとめ

人材業界主要4社の東南アジアM&A動向をご紹介してまいりました。私もベトナムで現地向け人材サービスを運営している中で感じることですが、想像以上に現地のスタッフを活用しながら現地の顧客基盤を築くことに時間がかかることです。スピードが命とも言えるこの領域において買収による進出が多いのも納得できます。

人材サービスは参入がしやすいため、タケノコのように新たなサービスが生まれ、小規模ならば黒字経営がしやすいとも言われています。そんな環境下で圧倒的に抜きん出ることは、参入のしやすさとはまた別次元の問題となるようです。