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ベトナムのスタートアップ界隈で気になったことを紹介していきます

ベトナムスタートアップが仕掛ける定期購入型モデルという新たな波

米国や日本などを中心に人気を集める定期購入型モデルのサービス。

化粧品のIpsyやBirchbox、ゲーマー向けのLoot Crate等、あらゆるジャンルにおいて受け入れられているビジネスモデルだ。

ここベトナムでもこの領域に対して多くのチャレンジがされてきた。しかし、一般消費者のクレジットカード普及率や物流問題など、このビジネスを成立させるには前提となる環境という壁が存在していた。
ベトナムでは長らく現金がほぼ唯一の決済手段であった経緯があり、銀行が定めるクレジットカード審査は厳しいようで、全体のカード普及率はまだ低い。感覚的には1割程度で、結果利用者は銀行審査に通ることのできる都市部の富裕層や中間所得層に偏っている。

しかし、いよいよベトナムでも経済成長と国民の所得水準の向上により中間所得層が年々拡大し、本格的にクレジットカード市場の成長が期待される段階に入ってきた。実際に近年、日系の進出が相次いでいる。

そんな中、昨年定期購入型モデルを用いた3つのスタートアップが立ち上がり、このビジネスモデルの先駆者として期待が寄せられている。

Jouet Box

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2015年11月にハノイでリリースされたのが、幼児向けの玩具の定期購入サービスである「Jouet Box」。

CEOはフランスでツアーリズムを学んだNguyen氏。ちなみにJouetとはフランス語で玩具という意味だそうだ。彼女がフランス留学中に感じた、ヨーロッパとベトナムにおける幼児期の教育の差に着目しこのサービスを開発。

元々夫とともにベトナムに帰国した際に、幼児教育向けのスクールの立ち上げを検討していたが、初期投資があまりにも高く断念。それでもこの問題に情熱を持っていた彼女がたどり着いたのが定期購入型のEコマースだったのだ。
Jouet Boxが目指すのは、子供達がJouet Boxの玩具を通じてクリエイティブな感性を養うこと。

ベトナムの一般的消費における教育費の割合はの6.8%。これは日本の2.3%を約3倍も上回る数字であり、教育熱心さが伺える。人口グラフをみてもまだまだ日本のような少子高齢化状態とは異なり、人口増加の途中にある。拡大するマーケットにおいて、Jouet Boxがフィットするのかを今後も追っていきたい。

Jouet Box

Ma Belle Box

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Ma Belle Boxは2015年6月にホーチミンでリリースされた、美容の定期購入型Eコマース。フランスとイギリスで学んだMarion Vigot氏が立ち上げたサービスだ。起業前はフランスとベトナムで企業のデジタルマーケティング支援をしていた彼女の心の中には、常に”美容”への情熱がデジタルマーケティングとリンクしていたそうだ。

ベトナムでは美容製品の偽物も出回り、ベトナム人女性もベトナム製のものは品質が悪く、日本製や韓国製のものを欲しがるそうだ。Ma Belle Boxは美容市場の拡大、そして消費者が安易に安価な美容製品を使うことのリスクを伝えていくことをミッションにしている。

Ma Belle Box

2Guys1Box

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米国で学んだ2人のベトナム人、Nguyen Quang Thai氏とNguyen Dang Khoa氏がホーチミンで立ち上げたのが2Guys1Box。コンセプトである“getting a monthly present for yourself”の通り、毎月おすすめのファッションアイテムが料金プランごとに送られてくるという仕組みだ。趣味思考が多様化した日本においてはファッションリーダーのような信頼度のあるキュレーターが選んだ商品が届くなどは考えられそうだが、ベトナムにおいては成立しそうなモデルだ。

2Guys1Box

まとめ


定期購入型モデルは一般消費者の消費の仕方を変え、企業が製品を届けるまたはテストマーケティングの手段を変える。
今後は美容や玩具のみならず、あらゆる領域にて新たなサービスが生まれてくるだろう。
もちろんまだ確立した製品供給ルートにはなり得ていないが、いつの日か人口9000万人のもとに定期購入型モデルが馴染む日は近いだろう。