vietnam-startup is here

ベトナムのスタートアップ界隈で気になったことを紹介していきます

ベトナム初の祝い金型求人サイト『Viecoi』はアジアでの成功モデルとなれるか?

f:id:anzaiakira0609:20160209171546p:plain

 

ベトナム東南アジアでも屈指の成長率を誇る国家だ。

人口9,000万人、平均年齢28歳。1人当たりの所得も増え、以前はアウトソース先としての色が強かったが、今では多くの国々が拡大するベトナム消費市場を狙って参入を始めている。

その中には日本企業も多く、外務省のデータによると現在1,500拠点、年間100拠点以上が新たに参入。これは国・地域別ランキングで見ると世界8位に位置する。(1位は中国の3万2667拠点) これはつまり、ここベトナムにて多くの雇用機会が生まれることを指し、雇用機会を支える人材事業者にとっては追い風と言える。さらに、ベトナムの20代の転職率は日本の倍。終身雇用の崩壊が叫ばれつつも流動性の低い日本とは異なる労働観が存在するのだ。

そのような環境下において、既に多くの日系企業ベトナムに参入している。 大手の人材支援企業は軒並み支社を出し、エンジャパンに至っては現地No.1求人サイトであるベトナムワークスを買収している。これらの企業の多くは日系企業向けの採用支援事業を展開しているのが現状だ。これはある意味全うな判断で、それだけ需要があり、ビジネスを進めやすいからだ。これがベトナム市場における日系企業の現在の取り組みと言えるだろう。

では、これからベトナムで勝負をする日本人はどうあるべきなのだろうか。 一足先に経済成長を遂げた日本という国に生まれた日本人が、これからさらに成長を遂げていくベトナム経済に対して出来ることは何なのだろうか。 それは、ベトナム現地の企業に対して、更に言えば労働市場に対して新たな価値を提供していくことだ。

今回は、ベトナム初の祝い金型求人サイト『Viecoi』についてご紹介しつつ、これからの日本人のアジアにおける役割について考えていきたい。

ベトナム初の祝い金型求人サイト『Viecoi』とは

2015年末にサービスを開始した、ベトナム初の祝い金型求人メディア。初期費用完全無料、採用成果報酬額は1.0ヶ月分と従来の半額以下(通常2.6ヶ月分が多い)で提供。2010年よりベトナム進出支援やラボ開発を提供していた日本人や、日本での人材ビジネス立ち上げ経験豊富なメンバー、更には外資系企業のHR部門での勤務経験を持つベトナム人スタッフや、ベトナム国内の人材企業での営業経験のあるベトナム人がチームを形成。英語とベトナム語が飛び交うグローバルチームだ。

日本ではジョブセンス等で馴染みのある、祝い金というモデルが、ここベトナムにおいても通用するのかが肝だ。これにはオペレーション力が試されるため、日本人が勝負しやすい領域とも言えるだろう。

アジアで成功するロールモデルとなれるか

このサービス自体が成功するか否かに加え、もう1点注目すべきは、日本人がアジアで成功出来るのかという点だ。

日本発のサービスが海外展開する例は珍しくはない。しかし、完全に海外市場をターゲットとしたサービスが世界で成功する例はまだ少ない。米国で躍進を続ける福利厚生スタートアップのAnyperkはその先頭を走る例と言えるだろう。

成熟した日本国内市場において、新たな、そして大きなビジネスチャンスを見出し、スケールさせるのは簡単なことではない。 スタートアップ界隈には、『ビタミン剤ではなく、鎮痛剤を売れ!』という言葉がある。日本において、人々が大きな痛みを感じる領域を見つけ、ビジネス化するのは、技術革新か価値観の変化を捉えない限りは難しい。さらには、良質なビタミン剤ならまだしも、そもそも課題を捉え違い、自己満足のプロダクトが打ち上げ花火のように打ち上げられては散っていくのだ。

一方、アジア各国には大きな課題がゴロゴロ転がっている。現地でビジネスをしていると、正直転がりすぎていて目移りしてしまう自分を抑えることが大変なほどだ。つまり、解決すべき課題はそこにある。解決策も大枠は検討がついている。そこに対して情熱と、日本人が誇るべき勤勉性や品質へのこだわりを投下していけば、十分に勝負ができる。 もちろん、日本の成功事例を海外に持っていけば成功できるほど甘くはない。

実際に、クローンビジネスで有名なロケットインターネットですら、最近ベトナムで展開していたフードデリバリーサービス『foodpanda』の撤退を決めた。真似ることは私たちが想像する以上に困難を極めるのだ。

しかし、戦後あらゆる文化を吸収しながら独自の文化を築き上げた日本人だからこそ、この課題解決に適した民族なのかもしれない。 あらゆる課題を乗り越えて、Viecoiがベトナム人材市場のスタンダードになる日も近い。