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ベトナムのスタートアップ界隈で気になったことを紹介していきます

ベトナムで日本語ビジネススクールを開講した理由

 

6月よりベトナムで日本語ビジネススクールを開講しました。


完全無料、8週間でビジネスで必要な考え方やスキルを学ぶ、厳選された20名のみが参加できるスクールです。私の知る限りではベトナム初で、大変好評を得ています。

今回はなぜベトナムで日本語ビジネススクールを開講したのかについて説明すると同時に、ベトナムの人材業界がただの転売屋の域を脱せない理由について紹介していきます。

 

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今何をやっているのか


今年2月より祝い金型転職サイト「Viecoi」を運営しています。
日本では祝い金型の求人サイトは以前からあります。そう、ジョブセンスです。
しかし、ベトナムにはまだ広告掲載型の求人サイトしか存在しません。既にお察しの方も多いと思いますが、タイムマシン型、ベトナム市場においては新たなビジネスモデルとして勝負する。これが今私がベトナムで挑戦していることです。

本格的に運営を開始して約5ヵ月ほどで、サービスも売上げも立ち上がりました。
人材ビジネスは売上げが立ちやすい性質上、小規模で細々と生き延びることは可能です。アジアで起業!といった具合に、歪んだ自己陶酔に浸りながら生きる。それもまた人生でしょう。

しかし我々の場合は本気で既存のプレイヤーをひっくり返そうとしておりますので、何よりスピードが命です。
祝い金型は今はまだ珍しいですが、それ自体はすぐにでも真似できます。最大の差別化は組織だと胸を張っていえるように、現在先行投資で既に15名以上の社員を抱え、一気に勝負をかけにいっています。

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人材会社は、ただの転売屋でよいのか?


日本語ビジネススクールを開講した背景には、サービスリリース当初からの疑問があったからです。

 

「人材会社は、ただの転売屋でよいのか?」

 

ベトナムの20代の転職率は日本の2倍以上。
人口の60%以上が30代以下で、転職市場の大きさを物語っています。そのような環境下では、人材業者はビジネスがしやすいことになります。それもあってか、ベトナムには多数の日系人材紹介会社が存在しています。

ここベトナムでは、1-2年で職を変える人がゴロゴロ。これは脚色表現でも何でもなく、3年働いたら長い印象があるほどです。より良い条件に惹かれて引き抜かれるならまだしも、キャリア軸の定まらぬままに無闇に転職を繰り返す層も多数存在します。

人材会社としては、どんな理由であれ、人を動かせば報酬が手に入りますので、
そのような問題に取り組む倫理的な課題感はあれど、論理的な理由は見当たりません。
むしろ、自分達の市場を縮小させるといっても過言ではないのです。手間ひまかけて人材育成をした後に紹介をするよりも、リスティングを回して集客した方がよっぱど楽なのです。なおかつ、人材紹介業はナマモノですから、育成したからと言って必ずしも転職支援に繋がるとは限りません。

 

私たちのアプローチ


ユーザーに選ばれるサービスとは、いったいどんなサービスなのでしょうか。
そのたった一つの理由は、保有している情報にあります。

考えてみてください。「転職したいから○○会社に相談しよう」とは、そうそうなりません。特化型のサービスならばあり得るかもしれませんが、日本でさえ転職したいからリクナビNEXTに登録しよう!とはなっていないですよね。「転職」で検索すれば、その限られた広告スペースを取り合っている様子がうかがえます。

つまり、良質な求人を揃えることこそが選ばれる理由であり、良質な求人を集めるためには良質な求職者を集める必要があるということです。鶏が先か、卵が先かのような話しに聞こえますが、ビジネスにおいて順番の重要性はもはや周知の事実でしょう。だからこそ、畑を耕し、種を植えるところからスタートさせるほど手間をかけてでも、優秀な人材を育成する価値が論理的にあると言えるのです。時間軸の取り方で、見えてくる論理は異なるのです。

もしこの方法を取らないのであれば、「良質な求人を買ってでも揃える」という方法しかありません。しかし、これでは予算の大きな会社の前では戦うことができませんし、長期的に顧客と良い関係性を築くのは難しいのではないでしょうか。

このような手間のかかるプロセスは、どの会社も基本的にやりません。短期的には利益は出ず、時間がかかります。面倒くさいです。やるとしてもトップダウンでの判断でないと動き出すことは難しいでしょう。

それでも私たちがやる理由は、長期的に健全な市場を作ることが、必ず自社の利益に繋がると考えているからです。だからこそ、畑を耕し、種を植えるところからスタートしたいと考えました。今はまだ小規模ですが、このようなオフライン活動を継続していく先にのみ、ユーザーに選ばれるサービスの姿があるのではないかと思います。そんな隙間にこそ、スタートアップのチャンスは眠っているのだと思うのです。

 

現在の状況


まずは日本語学習者からスタートをさせたのが6月。

参加枠20名のところに多数の応募をいただき、選考の上で参加者を選ぶという有り難い結果となりました。ベトナムは家計における教育投資額が日本の2倍以上ある国であり、非常に教育熱心です。それは社会人も同じで、社会人でも学校に通う人がとても多いのです。

集まっている学生は国立大トップの日本語学科出身者や大手IT会社勤務者など、ベトナムの4万人いると言われている日本語学習者の中でもトップ3%には入るであろう層が参加しています。

優秀な人材の友人は優秀というのは本当で、現在の参加者のほとんどが合格者の紹介経由で合格しています。ベトナムの紹介の力は本当に凄まじく、リファラル機能をViecoiに実装したほどです。既にこの中から転職サポートをさせて頂いた参加者もおりますが、これからは日本への就職や留学といった道も用意し、出口を増やしていきたいと考えています。

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今後の展開


そして、同じスキームで次に展開するのがエンジニアです。

全世界中でエンジニアが不足しています。ほぼ周知の事実と言って良いであろうこの事象に対して、ベトナムは国家として大きな戦略を立てています。国家戦略として2020年までに100万人(年間7-8万人増)にまで増やし、GDPの8~10%を担うまでに成長させようとしているのです。実際に、大学の数は増え、 エンジニアを育成するスクールも増えつつあります。

すでに世界中の開発案件が、ここベトナムに集まっています。 IT業界に身をおかずとも、1度はオフショアという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。 ベトナムは世界有数のオフショア、つまりシステム開発の発注先なのです。
しかし、その評判は賛否両論と言わざるを得ない。 オフショア進出の増加と同じほど、撤退も増えているからです。撤退の理由には様々あります。 日本側の案件依頼の仕方、ベトナム側の開発の質、双方間のコミュニケーションのズレ。課題を挙げ出したら枚挙にいとまがありません。

我々事業者としていま取り組むべきは、エンジニア教育の0-1ではなく、1-10を担う存在としてエンジニア向けスクールを開講することです。現代のシステム開発において、重要なことは、どれだけチームでコラボレーションしながら成果を出せるかです。
エンジニアとして、どのように質の高いプロダクトを、生産的に作っていくのかこそ、我々民間事業者に求められていることなのではないかと思います。


ベトナムに興味がある、何か一緒に取り組めることがあるという方はぜひご連絡いただければ幸いです。既に日本の大手IT企業での就業経験があり、現在日越留学支援事業を展開するベトナム人経営者の方とも事業提携が決まっています。

anzai@viecoi.vn


Cám ơn nhiều(ありがとう)